樹原涼子を弾きたいシリーズとは
樹原涼子先生が作曲された作品を現代の名ピアニストが演奏するというシリーズ。
第1回目は宮谷理香さん。樹原先生の「巡る」が宮谷理香さんに献呈されました。大阪でもその演奏があり、聴くことができました。
2018年10月28日。大阪アヴェンヌ。
第2回目は神戸での開催でぷちピアノランド関西でもお手伝いをさせていただいた、舘野泉さん。
奥様もお元気なときで、懐かしい思い出です。2019年4月20日。神戸中華会館。
第3回目は小原孝さん。ラプソディー第2番が献呈されました。初演は、2019年8月2日のピアノランドフェスティバル。
第4回目の『樹原涼子を弾きたいシリーズ』は、青柳いづみこ先生(連弾伴奏は西本夏生さん)
そして今回第4回目が、青柳いづみこ先生でした。2024年3月7日。(カワイ表参道パウゼサロン)
残念ながら、私はカワイ表参道のパウゼサロンにはうかがえませんでしたが、アーカイブ動画を申し込んでみることができました。
楽譜「やさしいまなざし」と「時の旅」2冊分をたっぷりと
この2冊は、楽曲の勉強会で私も弾いたことがある曲ばかりです。
樹原先生のお父様のやさしさをふと感じる日常の尊い時間を綴った「やさしいまなざし」。
一方、「時の旅」は、連弾曲集です。こどもたちが、教会旋法を学べるように、物語仕立てで、いろいろなモードの世界を体験できる「小さな時間旅行」と。大人の情感で音楽を味わえる「美しい時間」が入っています。
この2冊を、前半と後半に分けて演奏してくださいました。
青柳いづみこ先生のトークも楽しい
青柳いづみこ先生のトークの魅力がいっぱいです。ユーモアがあって、楽しいお話はいつまでもたくさん聴いていたい、と思いました。大人女子のお手本です。そして、ひとたびピアノに向かわれると、息をのむような美しい音色。
教会旋法の魅力
青柳いづみこ先生の演奏を聴いて、特に印象的だったのが、教会旋法の曲でした。
教会旋法が使われていた当時がふとよみがえるような、自由なアドリブがたくさん。
和声進行がない旋法だから、メロディがとても大切なのだと気づきました。装飾やアドリブ部分があると、中世の異国にスッと吸い込まれていくようでした。モードはこう弾くのよ、と教わった気分。
やさしいまなざしの中の「いつでも」。それから、「小さな時間旅行」の中の真似ができないようなアドリブ部分。
教会旋法は、素朴な感じだと思っていましたが、こんなに豊かな表現ができるのだとわかりました。
「楽興の時」の演奏中に居眠りする演技パフォーマンスもほんとうにブラボー。ここまでやってくださって、ありがとうございます。
だれでも青柳いづみこ先生の大ファンになります。
音楽の専門家でキャリアが素晴らしいだけでなく、お人柄といい、演奏の美しさといい、以前から青柳いづみこ先生は存じていましたが、とても魅了されるトーク&コンサートでした。
期日まで、何度も見返したいと思います。
どんどん魅力が増していく樹原涼子作品
こどもの教本「ピアノランド」シリーズ。新しく加わった「ピアノランドプラスのシリーズ」。(音楽之友社)
そして、珠玉の小品が綴られたそれぞれの楽曲シリーズ。
毎年のように新刊を発売されて、樹原涼子先生の作曲の泉が尽きず、いつも溢れていることにも感動を覚えます。
息子さんの孝之介さんもミュージカルやゲーム音楽などでも売れっ子の作曲家として活躍されています。
生きた感動を生み出す力は、AIが進んだ現代でも人のもつ特権ですね。
答えのない課題にとりくんだり、ゼロから何かを生み出すような力は、そういういろいろな作品からエネルギーをもらって、前に進む糧にすればいいのではないかな、とピアノを習うこどもたちにも伝えたいです。
樹原涼子を弾きたいシリーズ視聴申込み(5/12まで視聴可)
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代