西宮北口の兵庫県立芸術文化センターにて、ポーランド出身のピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンのリサイタルを聴きに行きました。
ツィメルマンのリサイタル会場
いつも思うのは、ツィメルマンのリサイタル会場の物々しい雰囲気。
今回も、お客さんは本番45分前にロビーにまで入れて、さらに本番15分前までロビーにて待機。
会場内では、空のステージの撮影も禁止。10年以上前だったと思いますが、リサイタルの演奏の録音がネットに出回ったそうで、ツィメルマンがとても厳しく観客に注意喚起を求めるようになった経緯があります。
音楽を楽しむ雰囲気ではなく、ホールがピリピリしていたこともありました。
穏やかににこやかに始まったショパン
満席で埋め尽くされた観客席が見守る中、ツィメルマン登場。
真っ白だけどふさふさした白髪に髭を蓄えて、微笑みたたえてピアノに向かって歩くツィメルマンが見られただけで、まずは幸せ。
親しんだ名曲、ショパンのノクターン。第2番、第5番。そしてさらに深みを増して、第16番、第18番。
ツィメルマンのショパンソナタ第2番『埋葬』は最高峰
ツィメルマンのピアノで、ショパンソナタ第2番の「埋葬」を聴きたい人は多いと思う。私もその1人です。
どの瞬間も感覚的に完璧に心地よく、部分的にも全体的にもバランスが良くて、美しい。
熱量でねじ伏せられるわけでもなく、とても自然に音に包まれて心地よい。
埋葬ソナタの第3楽章から後からは、どんどん宇宙にいざなわれるようでした。
休憩時間〜ロビーで知人を探す
この感動を分かち合いたくて、きっとこの音楽を聴きに来ているであろう誰かを探しました。
よかった。友人を見つけて、感動を分かち合いました。
後半は、ドビュッシー・シマノフスキー
ドビュッシーの版画より、「塔」は、日本的な音階が使われている音楽で、ツィメルマンの日本へのあたたかい愛を感じました。「グラナダの夕べ」。「雨の庭」。雨の庭は、よく日本人が演奏する感じではなくて、新鮮でした。
勉強しなおそう、と思いました。
シマノフスキーの「ポーランドの主題による変奏曲」は圧巻でした。
ツィメルマンの超絶技巧と芸術で、ホールいっぱい満たされました。ツィメルマンでなければ弾けないような曲でした。
アンコールはラフマニノフ
今回、ツィメルマンは、アンコールを気持ちよく弾いてくれたような印象。
会場のスタンディングオベーションが、ツィメルマンにきちんと伝わって、嬉しい気持ちになりました。
ラフマニノフ:前奏曲op.32-12。 そして10の前奏曲op.23より第4番。
世の中には、素晴らしい音楽がたくさんあります。それをツィメルマンが職人技で磨いて、もっと素晴らしい音楽にして見せてくれます。世界の宝のようなピアニスト。
来年も来日、待っています。
神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代