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【ピアノ指導の現場から】コンクールに挑戦する「本当の意義」とは?

コンクールの応募がはじまる時期

春、新学期。

それと同時に、ピアノ教室にとっては数多くの「コンクールの募集」が始まる時期でもあります。

新しい学期が始まったばかりの4月。

新しい変わった環境に子どもたちが馴染めるかどうか、親御さんが不安を感じている中で、「コンクールに挑戦しませんか?」というお話をするのは、私自身、最近とても慎重になる部分がありました。

「楽しむピアノ」が広まった今、コンクールは必要なのか?

2005年ごろから2019年ごろまで、この教室の生徒さんたちはたくさんコンクールに参加していました。

参加するからには~と、対策や準備に励んで入賞する子たちも毎年のようにおり、中には音楽大学を出てピアニストの活動をしている卒業生もいます。

けれどもコロナ禍を経て、音楽の楽しみ方は大きく変わりました。

YouTubeで自分の演奏を気軽に発信したり、街角のストリートピアノを自由に弾いたりと、「高い技術を競うよりも、日常的に音楽を楽しむ」というスタンスが主流になりつつあります。

それとともに、ピアノ学習に取り組むスタンスも変化してきました。

コンクールに挑戦するとなれば、練習量は格段に増え、リハーサルや本番への参加など、時間的・金銭的な負担も少なくありません。

「プロを目指すわけではない子どもたちにとって、ここまで大変な思いをしてまでコンクールに出る意義は何なのだろう?」

そんな自問自答を抱えながら、3月の発表会を終え、春から夏にかけて行われるコンクールのご案内を行った時のことです。

卒業生たちが教えてくれた「過去の努力」の価値

今年の発表会では、当時のコンクール経験のある教室の卒業生たちがスタッフとして手伝いに来てくれました。

現在は大学や社会人でピアノから離れ、全く別の道を進んでいる子たちです。

そんな彼女たちのうち2人が、今回合唱の伴奏を引き受けてくれました。

驚いたのは、その本番への「対応力」です。

彼女たちは小・中学校時代にコンクールで金賞や銀賞を獲るほど打ち込んでいた子たちでした。

今は日常的に弾いていないにもかかわらず、少しのアドバイスだけで、あっという間に本番をそつなくこなせるレベルまで仕上げてしまったのです。

「子どもの頃に目標を持って一生懸命練習した期間があったからこそ、これだけの底力がついているんだ」

その姿を目の当たりにして、打ち込んで練習してきた時間の価値を確信しました。

「音楽を完成させる」体験の先にある一生モノの財産

コンクールに出て親子で疲れ果て、燃え尽きてしまうケースがあるとも聞きます。

わたしの教室はマインド的にそういう向き合い方はしていませんが、それは避けなければならないことです。

しかし、「一曲の完成度を極限まで高める」という体験は、時間が経った時に、何物にも代えがたい「力の蓄え」になります。

わたしの教室は、現在は積極的にコンクールの参加を勧めている教室ではありませんが、

この発表会のエピソードを教室のお便りで伝えたところ、「将来につながるなら、今年は親子でチャレンジしてみようかな」と前向きに参加を考える親子も現れました。

一人ひとりに合った「挑戦」のカタチを

コンクールは、ただ順位を競うためだけのものではありません。

10年後、20年後に、ふとピアノの前に座ったとき、あるいは誰かのために伴奏を頼まれたとき。

かつての努力が自分にしあわせな時間をくれる「一生モノのギフト」になっている。

もちろん、全員に無理にお勧めするわけではありません。

その子の性格、ご家庭の状況に合ったイベントやコンクールが必ずあります。

これからも、「今すぐの結果」だけでなく「長い目でお子さんの将来を豊かにするピアノ」を目指して、ことしも一人ひとりと丁寧に向き合っていきたいと思います。

神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代

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