2015年より平均律第1巻、インヴェンションとシンフォニアを経て、8年越しの上杉春雄先生のバッハセミナーです。年に二度、春と秋に開催しています。今回は通しで第17回。
平均律第2巻としては、最初のセミナーです。
上杉春雄先生のバッハセミナーの開催のきっかけ
コロナ禍の2021年よりオンラインも導入して、現在は、リアル会場受講とアーカイブ動画での受講のハイブリッド式で、セミナー開催をしています。
私は、ピアノランドメソッドの創始者作曲家の樹原涼子先生に、2014年の上杉春雄先生の平均律第1巻の関西でのリサイタルを紹介されて、メソッド仲間と西宮芸術文化会館神戸女学院ホールに聴きに行ったことがきっかけで、上杉先生と一緒にバッハの勉強会を作ることになりました。
平均律全曲をやろうという先生の意気込みにつられて、バッハの連続セミナーを開催しています。
ぷちピアノランド♪関西主催
バッハを弾くときに特に意識すること
平均律第1巻の最初に、バッハを音楽的に弾くために注意することを語られましたが、今回第2巻をはじめるにあたってもう一度、本セミナーの目的〜そもそもバッハを現代のピアノで音楽的に表現するにはどうすれば良いのか、についてのお話がありました。
フレージングや運指について
基本的に押さえておくべき運指のコツ。
三声以上を弾く時のポイント。
第2巻はなぜ作られたのか。
第1巻と第2巻の違いは何か。バッハの人生を振り返りながらのお話。(資料にも詳しく記載されています。)
平均律第2巻第1番
初稿と完成稿との比較が資料に出されていて、先生がポイントを示されています。
フーガは、直前に先生が入手された論文により、初稿と完成稿の拍子の表記が違うことの発見があり、その理由などを考察されました。
見比べることにより、完成稿は、半音階の多様、和声進行のしっかりした骨格があるなど大きな相違を踏まえた上で、上杉先生自身の美しい演奏を聴かせてくださいました。
また、フーガからは、暗譜のコツについてもテクニックを伝授。
暗譜については次回の第18回セミナーで、ミニ講義がありますので、特に覚えにくいバッハの暗譜について、楽しみい待ちましょう。
平均律第2巻第2番
作曲年は、富田庸さんの論文によると、1720年代に作られたと書かれているそうで、早い時期の作品だそうです。
フーガが大変ステキなのは、ひたすらテーマが魅力的だから〜。
資料には弾きこなすための細かいアドバイスがあります。弾かれる方はぜひ資料を参考にしてみてください。
ランチタイムクリニックとは
『コルトーのメトード』をベースにした脱力法を上杉先生からアドバイスを受けることができます。
次回の講座を早期割引にて申し込んで区ださった方への特典です。(多い場合は抽選)
演奏する上で、この場合は腕の重みなどは除外して、自分の指の状態にフォーカスして、ただ指をゆるめることに特化した意識の持ち方、響きの変わり方を体験する時間です。
クラヴィコードやチェンバロを触るように、現代ピアノも軽くデリケートなタッチで〜を体感するクリニックです。
午後の講義前に、全員で記念撮影。
午後から平均律第2巻第3番
第3番では、カンタータの一節から、「成し遂げる」という言葉にあたる音型が使われているモチーフ箇所の重要性が説かれました。
上杉先生のバッハは、バッハの初稿からのアイデアの変遷、楽譜の分析+修辞学+演奏者としての気づき、それからカンタータの歌詞を全部調べたうえで、大切な言葉がどのような音型で表現されているかのデータをもとに、音楽の中の暗号を解くようなミステリー小説のようなワクワク感があります。
平均律第2巻第4番
素敵な対旋律について細かい講義があります。資料にいっぱい記載がありますので、ご覧ください。
バッハを愛する人たちにぜひ弾いてほしい平均律第2巻
この講座は、こどもがハッと目を輝かせて聴きたくなるバッハ~というものを目指しています。(北海道の彫刻家、安田侃さんの言葉による。「芸術作品は、こどもが喜ぶものを作ればよいのだ。」とおっしゃったそうです。)
小難しいものではなく、それぞれのモチーフが生き生きと対話しているような音楽。
平均律第2巻を聴く機会も少ないですが、ぜひこの講座の上杉先生の演奏を一つの例として聴いてみられて、さらにみなさんのバッハの音楽を作っていってくださいね。
参考テキスト
新版ヘンレ版(アンドラーシュ・シフがフィンガリングしたもの)
ドナルド・フランチス・トーヴィ編の平均律第2巻(全音版は絶版、現在は外国版をお求めください。)
ぷちピアノランド関西メンバー
お問合せ→ぷちピアノランド関西
神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代