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第20回 上杉春雄先生連続セミナー開催レポート【平均律クラヴィーア曲集第2巻第13番~第16番】

― 平均律クラヴィーア曲集第2巻の深淵にふれる一日―

2025年5月11日、神戸・トアロードの中華会館東亜ホールにて、「第20回 上杉春雄先生連続セミナー」が開催されました。記念すべき20回目を迎えた今回のセミナーには、全国からバッハ《平均律クラヴィーア曲集第2巻》を学ぶ多くの参加者が集いました。

(※現在、お申込者限定でアーカイブ動画を公開中です。)

「音楽の時間」を考えるミニセミナーからスタート

一日のはじまりは、恒例のミニセミナーから。
神経内科医でもあり、月刊『ムジカノーヴァ』で「ピアノ演奏における脳と身体のしくみ」を連載中の上杉春雄先生による「音楽の時間」についての講義です。

ここでは、音楽における拍子やリズムの本質について解説がありました。
リズムは機械的な「均等分割」ではなく、演奏者が作り出す「スイング」や「グルーヴ」によって音楽が生き生きとすることを、実演を交えて語ってくださいました。

さらに、アンドラーシュ・シフの演奏に見る「イネガル」の手法、バッハ作品における拍子感の変遷、そしてそれを踏まえた「だからこう弾く」という上杉先生の視点は、多くの気づきを与えてくれました。

第13番・第14番:バッハ晩年の輝きと深み

第13番

午前の部では、《第13番》と《第14番》を取り上げました。
第13番は、アンドラーシュ・シフの言葉である「フランス風コンチェルト(前奏曲)」、「ダンス風フーガ、ガヴォット(フーガ)」を検証されました。上杉先生は、音の流れを丁寧に読み解きながら、テンポの提案、とトリルの入れかたについても解説くださいました。

第14番:名曲中の名曲

とりわけ注目されたのが、《第14番》です。バッハが50歳を過ぎてから書いたこの作品は、まさに円熟の名作。

プレリュードでは、「Style brisé(シュティル・ブリゼ)」という、不規則なアルペジオ奏法に焦点を当て、その構造的な魅力を解説。
フーガでは、3つの主題が「聖三位一体」を象徴しているという視点から、主題とその“類似テーマ”(上杉先生は、テーマもどき、と呼ばれている。)を意識的に弾き分ける演奏の重要性が語られました。

ランチタイム・クリニック:実演で学ぶ音の美しさ

お昼休みには、恒例の「ランチタイム・クリニック」。
4名の受講者が、脱力によって美しい音を出すタッチのアドバイスを受けました。
上杉先生の繊細なフィードバックに、受講された方にとっても貴重な時間となりました。

第15番・第16番:構造と表現の両立を探る

第15番:軽やかさの極み

午後は、《第15番》と《第16番》。
第15番は短く軽やかな楽曲で、まるで練習曲のような佇まいです。
元のバージョンと現行の版との違いが大きく、フーガのペアリングが大きく変わっていることが紹介され、D.F.トーヴィによる「軽いスタッカートタッチ」の解釈も提示されました。

上杉先生のセミナーは、現在絶版となっているトーヴィ編の楽譜をベースに始まったこともあり、毎回、上杉先生が翻訳したトーヴィの解説文が約80枚にわたって配布されます。演奏家にも指導者にも、大きな学びとなる内容です。

第16番:重厚さとテンポの妙

第16番では、冒頭の「Largo」のテンポについて、どのような速度・気分で弾くべきかという深い考察が行われました。
バッハの《BWV198「候妃よ、さらに一条の光を」》や、シューマンの《詩人の恋》からの引用などを通して、「Adagio」との違いにも言及されました。

特にフーガ部分は、10度・12度・13度の転回対位法が用いられており、その構造的複雑さはまさにバッハの真骨頂。
理解するのは難しい部分もありましたが、「それこそがこの曲のキモ」と上杉先生。

コーダに向かって音楽が厚みを増していく場面では、「テンポはむしろ落ち着いて、幅広くなるべき」との指導の通り、上杉先生による圧巻の演奏で締めくくられました。

セミナーのアーカイブ動画とお申込みについて

今回のセミナーのアーカイブ動画は、2025年6月30日まで公開中です。
視聴をご希望の方は、5月31日までにお申し込みください。

バッハをより深く味わいたい方、指導や演奏に役立つ視点を求めている方にとって、見逃せない内容です。
どうぞこの機会に、バッハの音楽世界を体験してみてください。

第20回セミナーお申込みはこちら

第21回セミナー予約も好評受付中です。

第21回は、2025年9月14日(日)に開催されます。

第21回セミナーお申込みはこちら

上杉春雄先生J.S.バッハを紐解くセミナーについて

ぷちピアノランド関西主催の「J.S.バッハを紐解くセミナー」とは~

札幌の神経内科医でピアニストであられる上杉春雄先生の、年に2度、平均律クラヴィーア曲集第の解説と演奏法についてお話をしていただくセミナーです。

かれこれ10年間続いていて、今回で20回目になります。

セミナーを運営しているのは、関西在住の有志のピアノ講師メンバーです。

上杉春雄先生のバッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻のCDがすばらしく、レコード芸術の特選盤に選ばれています。
来年は、平均律クラヴィーア曲集第2巻のCDが発売される予定です。

最新の情報を世界中から集めて、先生自身の考えをまとめたものをどう演奏するか、というお仕事の過程がよくわかります。

現在は平均律クラヴィーア曲集第2巻の第16番まで終えたところで、あと2回で全巻の解説が終わります。

平均律クラヴィーア曲集に味があられましたら、ぜひ、アーカイブ動画でご受講ください。

This seminar is given twice a year by Dr. Haruo Uesugi, a neurologist and pianist based in Sapporo. He discusses interpretation and performance techniques for The Well-Tempered Clavier.

This series has continued for ten years now, and this was our 20th session.

Most of the staff members who help organize the seminar are the piano teachers from the Kansai area.

Dr. Uesugi’s CD of Book I of The Well-Tempered Clavier is outstanding and was selected as a “Special Selection” by the music magazine Record Geijutsu.
Next year, his recording of Book II is scheduled to be released.

The seminar provides deep insight into how Dr. Uesugi collects the latest information from around the world, reflects on it, and incorporates it into his own performance approach.

At this point, we’ve completed the analysis up to Prelude and Fugue No. 16 of Book II. With two more sessions, the entire collection will be covered.

If you’re interested in The Well-Tempered Clavier, we encourage you to view the archive videos and learn with us.

過去のセミナーリポート

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