
モーツアルトの『魔笛』は、誰もが知っている有名なフレーズがいくつも出てきます。
でも、実際にオペラを観たのは、初めてでした!
生きているうちに観られてよかった。
ハンガリー国立歌劇場がやってくる、ということで、
今年の1月にチケットを買って楽しみにしていました。
魔笛ってどんなおはなし?
《魔笛》のストーリー
物語は、王子タミーノが大蛇に追われる場面から始まります。
タミーノは気を失ってしまいますが、夜の女王に仕える三人の侍女に助けられます。
目を覚ましたタミーノは、鳥刺しの青年パパゲーノと出会います。
パパゲーノは明るくおしゃべりで、少し臆病だけれど憎めない人物です。
そこへ夜の女王が現れ、タミーノにこう頼みます。
「私の娘パミーナが、悪い僧侶ザラストロにさらわれました。どうか助け出してください」
タミーノはパミーナの肖像画を見て、ひと目で恋に落ちます。
そしてパパゲーノと一緒に、パミーナを救いに行くことになります。
このとき、タミーノには不思議な力を持つ魔法の笛が、パパゲーノには魔法の鈴が与えられます。
本当の善悪が逆転する
タミーノは、ザラストロの神殿へ向かいます。
最初は「ザラストロは悪者」と思っていたのですが、話が進むにつれて、実はザラストロは知恵と理性を重んじる立派な人物だと分かってきます。
一方、夜の女王は、母として娘を思っているように見えましたが、実は強い復讐心を持ち、ザラストロを憎んでいました。
ここが《魔笛》のおもしろいところで、
最初に聞かされた話だけでは、何が本当かわからないのです。
タミーノは、パミーナを愛するだけでなく、真実を見抜き、立派な人間になるための試練を受けることになります。
タミーノとパミーナの試練
タミーノは、ザラストロの神殿で試練を受けます。
その中には、沈黙を守る試練、火や水を通る試練などがあります。
パミーナは、タミーノが突然話してくれなくなったため、愛されなくなったのではないかと深く悲しみます。
でもそれは、タミーノが試練のために沈黙していただけでした。
やがて二人は心を通わせ、魔法の笛の力にも助けられながら、試練を乗り越えます。
パパゲーノの物語
一方でパパゲーノは、タミーノほど立派な理想を持っているわけではありません。
彼の願いはとても素朴です。
「おいしいものを食べたい」
「かわいい奥さんがほしい」
そんなパパゲーノにも、ぴったりの相手パパゲーナが現れます。
最初は老婆の姿で登場しますが、のちに若くかわいらしい女性の姿になり、パパゲーノは大喜びします。
二人の有名な二重唱
「パ・パ・パ・パパゲーナ!」
は、とても楽しくて可愛らしい場面です。
夜の女王の敗北と光の勝利
夜の女王は、娘パミーナに短剣を渡し、ザラストロを殺すように命じます。
ここで歌われるのが、有名なアリア
「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」
です。
ものすごく高い音が出てくる、あの超絶技巧のアリアです。
しかし、夜の女王のたくらみは失敗します。
最後には、闇の世界である夜の女王たちは退けられ、ザラストロの知恵と光の世界が勝利します。
タミーノとパミーナは試練を乗り越え、結ばれます。
パパゲーノもパパゲーナと幸せになります。
ひとことで言うと
《魔笛》は、
王子タミーノが愛するパミーナを救いに行く冒険物語であり、同時に、愛と勇気によって人間的に成長していく物語です。
童話のように楽しく、パパゲーノのような喜劇的な人物も出てきますが、奥には
闇から光へ、迷いから知恵へ、未熟さから成長へ
というテーマが流れています。
子ども向けのお話のように見えて、大人が観るとまた違う深さがある、まさにモーツァルトらしいオペラです。

メインのキャストがチェンジされています
実は、わたしは、パミーナ役のロスト・アンドレアを楽しみにしていたのですが、
メインのパミーナ役、夜の女王役が代役にかわっていて、しかも指揮者も変更になっている、ということが、
当日判明しました。

でも、実力派の歌手のみなさん、展開していくストーリーに熱く感情をゆさぶる歌声を楽しませてくれました。

日本語で笑わせてくれるパパゲーノ
大阪人は、エンタメには「笑い」の要素がないと許せない人種~というのを、知ってか知らずか、
期待にこたえて、笑わせてくれました!
鳥刺しのパパゲーノ。
この鳥刺し~というお仕事も、これまでは知りませんでした。
(このオペラではパンフルートで)鳥をおびき寄せて、捕まえて、貴族に売るというお仕事なのですね。
貴族は、鳥を鳥かごに入れて楽しんだそうな。
王子と鳥刺しが共に行動するという設定がまた楽しいです。
魔笛の感想
オープニングのプロジェクトマッピングの画像から、ハンガリーからの「平和の祈り」のメッセージを強く感じました。芸術の力で、成し遂げたい望みのような演出でした。
「魔笛」を創作したモーツアルトの宇宙的な意図も感じました。
身分の違う王子と鳥刺し。
悪の化身だと思ったザラストロが、実は慈悲深いおじさんだった。
ものごとの陰陽、善悪、上下の価値観がコロコロと姿を変えて、実は一体化しているという真理を
モーツァルトが、軽やかで楽しい音楽とともに人の世に送り出してくれた。
困難な中にも生きる希望とともに。
「これぞ芸術。」と、思えたことが感動でした。
それを伝えてくれた歌手のみなさんも、オーケストラも素晴らしかったです。

総合芸術のオペラ鑑賞。
心にたくさん充電ができた舞台でした。
お読みいただきありがとうございました。
神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代





