
神戸・松方ホールで開催されたアンサンブル神戸第91回定期演奏会の感想レポートです。
赤松林太郎、ブルグハルト・トゥルケ、クリスティアン・シュルツらによるメンデルスゾーン、シューマン、シューベルトの名演をレビューします。
~秋の夜に響く、作曲家たちの若き日の作品たち~
2025年10月24日(金)@神戸松方ホール
🎻 プログラム
- メンデルスゾーン:ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 二短調 MWV.O4
ヴァイオリン:ブルグハルト・トゥルケ
ピアノ:赤松林太郎 - シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ピアノ:赤松林太郎 - シューベルト:交響曲第3番 ニ長調 D.200
指揮:クリスティアン・シュルツ
🌟 メンデルスゾーン 12歳の天才が描いた協奏曲
最初のメンデルスゾーンの「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」は、
驚くことに作曲者がわずか12〜14歳の頃に書いた作品だそうです。
初めて聴く曲でしたが、ヴァイオリンのブルグハルト・トゥルケ氏と、
神戸在住のピアニスト赤松林太郎先生の、まるで会話するような生き生きとした掛け合いに引き込まれました。
めったに聴けない貴重な作品を、生で体験できて本当に嬉しかったです。
🎹 赤松林太郎先生によるシューマン:情熱とロマンの融合
続いては、赤松先生によるシューマンのピアノ協奏曲 イ短調。
この曲は先生にとって、若い頃から特別な思い入れのある作品とのこと。
一音一音に深い情感がこもり、繊細さとエネルギーが共存する演奏でした。
🎼 シューベルト:青春の光と風の交響曲
後半は、シューベルト交響曲第3番 ニ長調。
なんと18歳のときの作品だそうで、またもや驚きです。
若々しいみずみずしさと軽やかさに満ち、まるで室内楽のように親密で透明感のある響き。
アンサンブル神戸の柔らかくまとまったサウンドが、この曲の魅力をいっそう引き立てていました。
🎶 指揮者 クリスティアン・シュルツ氏の“ウィーンの風”
今回の指揮者、クリスティアン・シュルツ氏はウィーン交響楽団でも活躍されるウィーンの音楽家。
終曲の明るく晴れやかな響きは、まさにウィーンらしいエレガンスを感じさせるものでした。
アンコールは、ヨーゼフ・シュトラウスの《憂いもなく》Op.271。
ティンパニが“ボヨーン”と音程を変えるユーモラスな瞬間には、会場から小さな笑いも。
初めて聴く曲でしたが、軽快でチャーミングな締めくくりに心が温まりました。
🌙 秋の夜に感じた「音楽の意味」
秋の夜にクラシックを聴くと、心の波動がすっと整うように感じます。
「なぜ音楽があるのか」と問われれば――
それはおそらく、「生き物として、私たちのいのちに必要だから」なのだと思います。
赤松先生のプログラムをきっかけに伺ったコンサートでしたが、
新しい発見と感動がたくさんありました。
音楽って、本当に不思議で、ありがたい存在ですね。
🕊 まとめ
- 若き天才たちの作品を、成熟した演奏家たちが奏でる幸福な夜
- 聴いたことのない作品との出会い
- ウィーンの香り漂うアンコールで心がほどける
クラシックの生演奏が、こんなにも豊かに心を潤す時間をくれることに感謝です。





