
『人生のピークを90代にもっていく』という本に出会ったのは、
表紙の言葉に心を奪われたのがきっかけでした。
「折り返し地点から死ぬまでハッピーな人生をつくる」という言葉が、
まるで未来への道しるべのように私を励ましてくれたのです。
著者は、50代の翻訳家・枝廣淳子さん。
人生の後半戦に差し掛かった自身の経験や学びを通して、
年齢を重ねることへの前向きな考え方をやさしく、そして力強く伝えてくれます。
この本では、年を取ることを「衰え」や「終わり」ととらえるのではなく、
心の持ち方や時間の使い方を工夫することで、
人生を豊かに、幸せに彩ることができると教えてくれます。
なかでも心に残った言葉がいくつかあります。
ひとつは「いくつになっても楽しく成長し続ける」という言葉です。
人生のどこかで成長は止まるものだと思いがちですが、
そうではなく、自分の興味や関心、喜びを育てていくことで、
人はどんな年齢でも伸びていけるのだと気づかされました。
また、「幸福とはすでにあるものを望んでいる状態」という言葉にも、
深くうなずかされました。
何かを得ることや目標を達成することだけが幸せではなく、
今ここにある日常や人とのつながりに感謝し、
それを大切に思える心が幸せを育んでいくのだと思いました。
さらに印象的だったのは、「究極の成功とは、
自分のしたいことをする時間を自分に与える贅沢である」という一節です。
これまでの忙しい毎日のなかで、自分を後回しにすることが多かった私にとって、
この言葉は深く突き刺さりました。
自分の心の声に耳を傾け、やりたいことに時間を使うことが、
真の豊かさにつながるのだという考え方に、目が覚める思いがしました。
この本を読み終えたとき、
これまで漠然と抱いていた老後への不安や心配が、
ふっと軽くなっていることに気がつきました。
90代まで感性を豊かに保ち、毎日を喜びとともに過ごしていく——
そんな未来を想像できるようになったことで、
これからの人生に希望をもつことができました。
そして何より、「いつまでも自分らしく成長していきたい」
という思いが芽生えました。
年齢にとらわれず、新しいことに挑戦したり、
人との出会いや経験を通じて自分を広げていくことの喜びを、
この先もずっと感じていたいと強く思いました。
『人生のピークを90代にもっていく』は、
これからの人生をどう歩んでいくかを優しく問いかけてくれる本です。
私にとって、年を重ねることが楽しみになるような、
大きな転機となる読書体験でした。
この本に出会えたことが、私の人生をプラスの方向へと導いてくれたのは間違いありません。
この思いは家族や多くの友人たちともシェアして、ハッピーな時間を共にしたいと思います。
神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代