2024年7月6日(日)大阪フェニーチェ堺にて。小林研一郎指揮のハンガリー交響楽団を聴きました。
ハンガリーとコバケンさん
『炎のマエストロ』小林研一郎ことコバケンさんより、開演前にトークがありました。今から50年前、コバケン、34歳、ハンガリーのブダペストにて指揮者コンクールがありました。それは、120曲から当日クジを弾いて、すぐにその曲を指揮するというものだったそうです。
クジは2回弾くことができ、1回目に弾いたクジが、ベートーヴェンのの交響曲第1番。
コバケンさんは、「ああ、これはダメだ。」と思ったそうです。
そして、2回目に弾いたクジが、「セビリアの理髪師」。
これは、コバケンさんは腕に自信があったようで、「あ、いける。運が向いたかも。」と思ったそうです。
そう前置きして演奏された、「セビリアの理髪師」。
セビリアの風景を、詩情豊かに演奏されて、コンサートが始まりました。
演奏プログラム
この日のプログラムは、
・ロッシーニ「セビリアの理髪師」序曲
・リスト「ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調」(pf 亀井聖矢)
・(ピアノソロアンコール)ラ・カンパネラ
・チャイコフスキー 交響曲第5番
・(アンコール)ハンガリー舞曲第5番
ピアニスト亀井聖矢さん
亀井聖矢くんは、2001年生まれの23歳。2002年にロン=ティボー国際音楽コンクールで第1位。2023年に桐朋学園大学を首席で卒業。才能あふれる若手ピアニストです。リストのピアノ交響曲第1番を演奏されました。
大きな手の持ち主だそうで、ロビーには亀井聖矢くんの手形が置いてあって、みんなそこに手を合わせて写真を撮ったりしていました。本当に普通の人の手が半分ぐらい余分にはみ出した感じで、すごい大きな手でした。リストの協奏曲を、華ある演奏でハンガリーのプダペス交響楽団とぴったりに、ばっちり弾いてくれて、その後の亀井聖弥くんのカンパネラのアンコールがまた素晴らしく、拍手の嵐。
チャイコフスキー交響曲第5番
コバケンさんが、大阪がツアーの最終日ということで、後半のチャイコフスキー交響曲の演奏前にもトークをされました。
「これから50分間もかかる交響曲を聴いていただくのですが、どういうところを聴いたいただくのがよいか、を簡単に解説します。」
- 最初、2本のクラリネットで始まるテーマ。それは、棺を担いで歩いている風景を思わせるということです。それが、だんだん合奏となって現れ、最後には大勢でフォルテで演奏される。その変化を聞いてくれたらいいですよというお話でした。
- 実際に、この部分~という部分演奏も。コバケンさんが、ハンガリー語でクラリネットのソリストに指示を与えたり、それぞれのソリストに、ここの部分を演奏してくださいと。
- それが、とても丁寧で、「Kerem Szepen」、どうぞお願いします、にあたる日本語を使っていらして、本当に謙虚に、演奏者、プレイヤーへのリスペクトを込めて話をされていました。
- 本当にコバケンって素敵な人なんだなと思いました。
- その実際の演奏の場面でも、1楽章終わるごとにオーケストラに向かって、丁寧なお辞儀をして、「いい演奏ありがとうございました、次もお願いします。」と言っているかのような間がありました。
- そしてもうこれ以上ないかと思うぐらい素晴らしいソロの演奏やまとまり、合奏の部分のまとまりのパワーが本当にすごかったので、コバケンの人柄が伝わって、このオケのパワーを引き出しているんだということが目の当たりに感じることができました。
- スタンディングオベーションの嵐でした。曲中のソリストのみなさんもコバケンもほんとうにすばらしい。
アンコール
ハンガリー舞曲の第5番。
ハンガリーのオーケストラのハンガリー舞曲は、とても情緒的です。泥臭くて体温があって、日本人にとっても懐かしい気持ちになる演奏です。コバケンが、しっかりハンガリー人の気持ちに寄り添って一緒に歌ってくれるような演奏でした。
もう一度聴きたいコンサート
昔からハンガリーでも活躍されて、有名であったコバケンさんですが、私は初めて生で演奏を聴きました。
お歳を感じさせないみずみずしい演奏で大感激でした。
最高のパフォーマンスを聴かせてくれた演奏会ですが、ずっと追っかけで聴きたい気持ちがあふれます。
また、機会を待っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
神戸北町のしばたピアノ教室 柴田 幸代