毎年11月にクリスチャン・ツィメルマンのリサイタルがあります。
ずっと前から楽しみにしていました。
それなのに何を勘違いしたのか、大阪のザ・シンフォニーホールに行ってしまいました。
降りたタクシーに再び飛び乗り、大阪駅に戻ってもらうという失態。
まだ約1時間前だったので、急ぎ阪急電車で西宮北口駅へ。
無事に19時の西宮芸術文化センター大ホールに間に合いました。
今年のプログラムは?
今年のプログラムは、ショパンのソナタではなくて、シューベルトで始まりました。
即興曲op.90の4曲。
テンポもタッチも自由な感じ。ツィメルマンのシューベルトは初めて聴いたかもしれません。
続いて、ドビュッシーのアラベスク第1番と月の光。
懐かしいものを大切に思い出すような気持になりました。

後半は、大量のプレリュードにびっくり

これが↑後半のプログラムです。
オールプレリュード。
この中から抜粋して、当日の気分で弾くのかな、と思っていたら、まさかの↑のプログラムを全曲ぶっ通しで弾かれました。
後半のプログラム
1.スタトコフスキ:前奏曲op.37-1/J.S.バッハ:前奏曲第1番
2.スクリャービン:前奏曲op.11-2
3.ショパン:前奏曲op.28-17
4.バツェヴィチ:ソナタ第2番より前奏曲とフーガ
5.ラフマニノフ:前奏曲op.23-4
6.フランク:前奏曲op.18より
7.ドビュッシー:前奏曲第1集第11番(パックの踊り)
8.J.S.バッハ:前奏曲第2番
9.ドビュッシー:前奏曲第2集第6番(風変わりなラヴィーヌ将軍)
10.シマノフスキ:前奏曲op1-2
11.ショパン:前奏曲op.28-7
12.スクリャービン:前奏曲op11-8
13.ドビュッシー:前奏曲第1集第8番(亜麻色の髪の乙女)
14.ガーシュウィン:前奏曲第3番
15.J.S.バッハ:プレリューディウム(パルティータ第1番より)
16.フォーレ:前奏曲op.103-3
17.ショパン:前奏曲op28-11
18.カプースチン:前奏曲op.53-9
19.ラフマニノフ:前奏曲op.3-2
これらを全曲弾いてくださいました。
なんていうか、ツィメルマンの音で、ガーシュウィンとかカプースチンが聴けるとは予想だにしなかった!
ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」でうっとりした後に、ガーシュウィンのかっこいい前奏曲がきて、その次にバッハのパルティータを聴けるなんて、心を揺すぶられすぎ!
そして、時々挿入されるショパンの前奏曲は、やはり絶品!!
ドビュッシーの軽やかさ、ラフマニノフのリッチでロマンティックな世界。
15曲目のバッハのパルティータからの、フォーレ、ショパンで酔わされて、ラフマニノフで美しいピアニッシモの極上の世界に連れていかれ、さいごにカプースチンの技巧の華やかさに感嘆して、ほんとうの最後にラフマニノフの鐘!!!
アフタヌーンティーのデザートをいただいている気分というか、アンコールピースを延々と弾いてもらっている気分というか、それは贅沢な時間でした。
70歳のツィメルマン
リーフレットによると、今までレコード産業に都合を合わせて構成されたプログラムを、ピアニストたちが演奏をしなければならなかった現実があったそうです。ツィメルマンは、70歳の節目を経て、より自由な着想で、実験的なリサイタルのプログラムを組む試みをしていきたいと考えるようになったそうです。
曲間に咳をするお客様にも、「どうぞ。」というジェスチャーをしたり、余裕のユーモアも見せてくれたツィメルマン。
自由なツィメルマンをこれからも楽しみにしています。





